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溺れる恋は藁をも掴む
第4章 心の景色
どうして神経を擦り減らしてまで、
親父は転職もせずに、
あの会社で自らを壊しながらも、
働いていたのかは?
家族まで巻き込み、
家族を犠牲にしてまで、
何を守ろうとしていたのか?

それは後々になってから知る事になる。



苦しくても辛くても逃げずに‥‥


そして、
行き場のない怒りを母にぶつけてしまうのに…
決して暴力は振らなかったけど、言葉の暴力も十分人を傷つけてしまう。



親父は俺の反面教師となった。



姿形が似ているのなら、
せめて、あの忌々しい性格は別物なんだと、
自分に言い聞かせていた。



酒を飲んで、思い通りにならない事を、
八つ当たりして、関係のない人まで巻き込む。

鬼の形相になるまで、心が荒まないように生きなきゃってね。




俺は笑う。




あの空気が大嫌いだから。


笑っていたら、通り過ぎてゆくから。
母さんをこれ以上悲しませたくないから。

そう、空気は人が作るんだ。

それは機嫌次第で、たちまち暗黒の空にだって変えてしまうから。


誰だって、陽だまりのような穏やかな日々を望むのに‥
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