この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
溺れる恋は藁をも掴む
第6章 満月の夜に
少し早めに着いて、
公園近くにあるコンビニのトイレを借りて、
メイクを直した。
アキに会える数分前。
ドキドキが加速した。
噴水の前に立つ。
日は暮れて空にまんまるの満月。
月を眺めていたら、
私の視線がアキを捉えた。
前髪を揺らし、
少し小走りになるアキ。
手にはビジネスバック。
「お待たせ、華。
急いだけど、少し遅刻だな。
ごめん」
「月を見ていたら、
時間が気にならなかったよ」
「今日は綺麗な満月だな」
「そうね。
小さな頃は、
あの満月にうさぎが住んでいて、
餅つきをしているって信じていた」
「俺も」
顔を合わせて笑う。
「飯は食った?」
「まだよ」
「どんなものがいい?」
「アキは?」
「取り敢えず、
お疲れ様の生ビールな気分」
「いいね。
それに枝豆」
「じゃあ、居酒屋にでも行きますか?」
「うん」
二人で並んで歩き出す。
満月が見守るように追ってくる。
子供の頃は、
足を止めながら、
何度も月を眺めたものだけどね。
あの日以来のアキ。
ドキドキするよ。
また、会えて良かった。
そんな恋心は隠しておかないとね。
赤提灯がぶら下がる、情緒のある居酒屋。
暖簾を潜り、これから大人のデートが始まる。
公園近くにあるコンビニのトイレを借りて、
メイクを直した。
アキに会える数分前。
ドキドキが加速した。
噴水の前に立つ。
日は暮れて空にまんまるの満月。
月を眺めていたら、
私の視線がアキを捉えた。
前髪を揺らし、
少し小走りになるアキ。
手にはビジネスバック。
「お待たせ、華。
急いだけど、少し遅刻だな。
ごめん」
「月を見ていたら、
時間が気にならなかったよ」
「今日は綺麗な満月だな」
「そうね。
小さな頃は、
あの満月にうさぎが住んでいて、
餅つきをしているって信じていた」
「俺も」
顔を合わせて笑う。
「飯は食った?」
「まだよ」
「どんなものがいい?」
「アキは?」
「取り敢えず、
お疲れ様の生ビールな気分」
「いいね。
それに枝豆」
「じゃあ、居酒屋にでも行きますか?」
「うん」
二人で並んで歩き出す。
満月が見守るように追ってくる。
子供の頃は、
足を止めながら、
何度も月を眺めたものだけどね。
あの日以来のアキ。
ドキドキするよ。
また、会えて良かった。
そんな恋心は隠しておかないとね。
赤提灯がぶら下がる、情緒のある居酒屋。
暖簾を潜り、これから大人のデートが始まる。