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近づきたい
第3章 想いの日
よし先輩との約束の日。
少しずつ荷造りしていた段ボールの中からお気に入りだけど、少し大人っぽいワンピースを引っ張り出した。

朝から髪型とかお化粧とかバタバタと家の中を走り回ってる。あまりに落ち着きなく動いている私を両親は不思議そうに見ている。

一人っ子の私が家を出る。しかも、飛行機を乗らないと行けない場所の大学を選んで、両親は大反対だった…

でも、やりたいことがあって夢を叶える近道になるならと最後には娘のわがままを許してくれた。

…なのに、この前よし先輩に会ってから、大学進学を後悔する想いさえ出てきている。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。

待ち合わせの11時まで、まだ1時間以上あるのに私の準備はすっかり終わっていた。

準備が終わったのに、そわそわしたまま出かける様子がない私を見て、お母さんが声をかけてきた。

「瑞穂、さっきからどうしたの?」

「うん、迎えにきてくれるから待ってるんだけど、準備終わっちゃったの。」

今まで彼氏が出来ても迎えにきてくれることはなかった。女友達と出かける時も私が迎えに行く方が多かった。

この数日の私の様子にきっとお母さんは何かあったことに気づいている…

「そう。お母さん達出かける用事があるから、先に出ちゃうわね。夜も遅くなりそうだけど、大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ。気をつけてね」

夜遅くなりそうは、夜遅く帰っても大丈夫だという合図…高校生になった頃から門限にうるさいお父さんに気づかれないように教えてくれている。

お母さん、今日もありがとう。でも、今日は遅くなることはないと思うよ…
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