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近づきたい
第3章 想いの日
陽が暮れた頃、家に着いた。今日は両親とも家にいない…思いっきり泣いてしまおう。

今までは切ない涙だった…声を殺して、泣くだけだった。今日は失恋したんだもん、思いっきり泣くんだ!

「今日はありがとうございました。よし先輩、仕事頑張ってくださいね!」

早く帰って泣こう。思いっきり泣けることが楽しみにさえなっていた。

「…瑞穂ちゃん、ちょっと時間をくれないかな?」

「えっ?」

車を降りようとよし先輩に声をかけた時、突然よし先輩に言われた言葉。

「瑞穂ちゃんと再会してから、オレ自分でもよくわからないんだ…ちょっと考える時間が欲しいんだ…

このまま、瑞穂ちゃんとさよならはできない…」

なんでそんなこと言うの?今、失恋して思いっきり泣くって決めたところなのに…

でも、嬉しかった。少しでも私のことを考えてくれることが嬉しかった。

私また、よし先輩と会っていいのかな?

「もし良かったら、来週の土曜日、また会ってくれる?」

コクンと頷いた私を見て、よし先輩はホッとした顔をする。私が断るはずないのに…

「また11時に迎えに来るよ。」

「はい…」

そう言って車を降りた。

「じゃあ、おやすみ」

よし先輩は笑ってはいなかった。

「おやすみなさい。」

私の言葉を聞いて、よし先輩は車で去って行った。

ねぇ、よし先輩…私、よし先輩のこと諦めなくていいの?私、よし先輩にもっと近づきたい…



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