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近づきたい
第9章 雨の日
夏休みに入っても私はゼミやアルバイトがあって、すぐに地元に帰省しなかった。
暑い中、今日も大学の中庭を歩いていた。ここは木陰があって、程よい風が吹いていて、私のお気に入りの場所…
ただ、さっきから雲行きが怪しい。夕立があるかもしれない…今日は傘を持ってきていないから早く帰ろう。
「瑞穂ちゃん!」
中庭を急ぎ足で歩くと、数人の学生とすれ違った時、私を呼ぶ声がした。
私の方を向く人の視線を感じる…。でも、私は私を呼ぶ人を見るつもりもなかった。
誰が呼んだか、すぐにわかったから。
「瑞穂ちゃん、待って!もう無視やめてよ。」
やっぱり、渡部君だよね…
七夕の日にこの中庭で話した時以来、私はこの人と二人で話すことから避けてきた。
「私、渡部君と話すことないから。じゃあ…」
「オレはある!」
振り返り立ち去ろうとした時、腕を捕まれた…
勝手に私のこと、触らないで!!
「こんなに具合悪そうにしてる好きな人、オレは放っておけないよ!」
よし先輩を想うと夜も眠れなかった。食事だって喉を通らない…
みんなが心配してくれてるのは自覚してる。そして、渡部君はあの日から自分の気持ちをストレートに私にぶつけてくる…
私がよし先輩に出来ないことをこの人はいとも簡単にしてしまう。
だから、余計に渡部君とは話したくない…
「痛いから離して…」
「オレから逃げないなら離す。」
はぁ。どちらにしても私は逃げれない…腕を離してもらって逃げても、陸上部だったらしい渡部君にはすぐ追いつかれる。もう3回失敗してる。
「逃げないから、離して…」
暑い中、今日も大学の中庭を歩いていた。ここは木陰があって、程よい風が吹いていて、私のお気に入りの場所…
ただ、さっきから雲行きが怪しい。夕立があるかもしれない…今日は傘を持ってきていないから早く帰ろう。
「瑞穂ちゃん!」
中庭を急ぎ足で歩くと、数人の学生とすれ違った時、私を呼ぶ声がした。
私の方を向く人の視線を感じる…。でも、私は私を呼ぶ人を見るつもりもなかった。
誰が呼んだか、すぐにわかったから。
「瑞穂ちゃん、待って!もう無視やめてよ。」
やっぱり、渡部君だよね…
七夕の日にこの中庭で話した時以来、私はこの人と二人で話すことから避けてきた。
「私、渡部君と話すことないから。じゃあ…」
「オレはある!」
振り返り立ち去ろうとした時、腕を捕まれた…
勝手に私のこと、触らないで!!
「こんなに具合悪そうにしてる好きな人、オレは放っておけないよ!」
よし先輩を想うと夜も眠れなかった。食事だって喉を通らない…
みんなが心配してくれてるのは自覚してる。そして、渡部君はあの日から自分の気持ちをストレートに私にぶつけてくる…
私がよし先輩に出来ないことをこの人はいとも簡単にしてしまう。
だから、余計に渡部君とは話したくない…
「痛いから離して…」
「オレから逃げないなら離す。」
はぁ。どちらにしても私は逃げれない…腕を離してもらって逃げても、陸上部だったらしい渡部君にはすぐ追いつかれる。もう3回失敗してる。
「逃げないから、離して…」