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大きな瞳に映るのは
第15章 金曜日
ゴクン 。
「 ふぅ、ごちそうさまでした 」
時間差で私も食べ終えた。
しかし、遙がお手洗いから戻ってこない。
ボーっとしながら遙を待つ。
すると遙が慌てて戻ってきた。
お会計を済ませ、そわそわした面持ちで店を出る。
遙を見ると半分笑みが零れているのが見て取れた。
「 なに、どうしたの? 」
『 やばい! 俺、さっき …
どう見てもお手洗いから戻ってきたテンションではない。
面白いものでも見たかのように、楽しそうにしている。
『 トイレで寝てた! 』
「 ぷっ… 」
それを聞いて吹き出してしまう。
そんなに面白い事だったのだろうか。
小学生みたいだ。
『 やべー!生まれて初めてトイレで寝てたよやべー! 』
何度もそう言う彼に
高校生らしさというものを忘れてしまう。
本当に、やんちゃな小学生そのものだ。
見てて飽きない、愛嬌があるとはこのことだなぁと改めて理解した。
そしていつものトーンに戻った彼は
あの日と同じように
『 乗るでしょ? 』
そう言って、遙は私を自転車の後ろに乗せる。
一週間ぶりに遙の匂いに包まれる。
ギッ ギッ
自転車は走り出す。
遙の背中に寄り添い、瞼を閉じた。