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大きな瞳に映るのは
第19章 告白

はぁ、と再び小さく溜息を吐いた
そして私の全身を
舐めるように見つめる
『 … 木下さん 』
カタンと椅子が音を立て
奏は立ち上がり私に歩み寄る
そして見下すように私を見る
その瞳に恐怖感を覚え
少しだけ肩が震えた
『 … 俺と付き合ってください 』
( … へ? )
思いもよらぬ言葉に
肩の震えは止まり奏を二度見する
そして状況理解すると
一気に鼓動が加速する
『 … 俺と付き合えば …
何かを言いかけ奏は前かがみになり
数センチの近さまで
私の首筋に顔を寄せた
『 俺と、付き合えば
こんな痕 … 隠す必要もなくなる
… でしょう? 』
ね? と、意地悪な笑顔が
再び私の瞳を舐めるように捕える
思わずその視線に
自分の視線を泳がせる
( … そんなこと言われても … )
『 … 返事、待ってますね 』
そう冷たく言葉を発した奏は
人が変わった様だった。
そして彼は淡々とキャンパスを片付けると
自分の荷物だけ手に取り美術室を出た。
一人だけになった美術室
夕暮れに染まる空
生暖かい室温
奏の告白により加速させられた鼓動と
バレてしまったという動揺から
吐き気を催し女子トイレへ駆け込んだ

