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大きな瞳に映るのは
第21章 恋人関係

書記の蒼真に代わって
ノートに書き込みをする遙
思わずその指先に目が行く
細く、でもしっかりとした掌
あの日確実に私を抱いたあの手
左手首には黒の時計
脳内であの日の事が駆け巡る
するとペンを動かす手が止まり
遙は視線を私に向けた
私は思わず顔を伏せる
その様子を見た遙は
ふ、と小さく笑った
『 今日はここまでですね。』
トンと書類を整理し奏が言った。
『 お!今日は早いね~?デート? 』
夕が調子に乗って奏をからかう
『 ま、そんなところですかね 』
ニコリと目を細め彼は私を見る
一瞬目が絡み合い私は目を逸らし
思わず遙の方を見る
遙も同様に私の様子を伺う様に
じっとこちらを見つめていた。
『 は?まじで?!彼女?できたの?! 』
夕はまさかの返答に驚き
ガタッと席を立ちあがった
『 いいえ? 』
奏は微笑しながらその言葉を呟く
それを聞いた夕は、なんだーつまんねー。と不満げに言いながら生徒会室から出て行った。
教室には私と遙と奏が残る
『 遙、書けましたか? 』
『 ああ、とっくに 』
そういうと遙が席を立ち
ノートを奏に手渡した
それから遙は私に視線を移すことなく
じゃ、とだけ言い教室から出て行った。
『 今日の遙は不機嫌でしたね 』
私にはわからなかった。
ただいつもより口数が少ないだけ。
でもそれは不機嫌だから、らしい。
奏も荷物を持ち立ち上がる
慌てて私も鞄を手に取りたちあがった

