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大きな瞳に映るのは
第21章 恋人関係

ガラッ …
私と奏先輩はあまり言葉を交わさず
美術室へ向かう
そしてコンコンとノックをして
美術室の扉をあけた
美術部員が一斉にこちらを向く
まだ部活動中だったため
部員のいる美術室には温もりがあった
『 会長!珍しいですね! 』
そんな風に数人が駆け寄ってくる
部員が居るということは雪も…
そう思い教室を見渡すと
窓際の方で水彩画に熱中する雪の姿があった
「 ゆきっ! 」
私は奏先輩の横を通り過ぎ
雪のいる方へ駆け寄る
私のほうを向いた雪の表情が
パァッと柔らかいものになり
私の気持ちは一瞬にして落ち着くことができた
少し雑談を交わしていると
美術部員はだんだんと片付けに移り
終わりのチャイムが鳴り響いた
『 音夢、帰らないの? 』
椅子に腰を落としたまま不思議そうに私を見る
「 あー、今日はちょっと… 」
そう言って奏先輩のほうにちらりと視線を移す
その行為に雪は何かに気付いた様子で
『 ほ―… また話聞かせてよね! 』
とにっこり笑うと教室から出て行った。
美術室にこの前と同じ静けさがやってくる
奏は私の方へ歩み寄ると
隣にあった椅子に腰かけ私と視線を合わした

