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大きな瞳に映るのは
第23章 関係
「 ねぇ、ハル 」
夕焼けに染まりつつある空の下
自転車を漕ぐ遙の顔を後ろから覗き込むと
遙は、ん?と一瞬だけ視線を私に向け
すぐに前を向いた。
ふぅ、と一呼吸おいて話し始める。
「 私ね。奏先輩と付き合ってるの。」
今言うべきなのかはわからなかった。
けれどいずれ話すこと。
決心して出したその言葉に
遙はなんの反応も示さない。
「 それでハルは麗先輩と付き合ってるでしょ? 」
『 … ん。 』
遙は表情を変えないまま話を聞いている。
「 なのにこんな風にしてて、いいのかな。」
少しだけ声に自信がなくなる。
遙の背中に額を当てぎゅっと後ろから抱き着いた。
本当は
離したくないの。
理由なんてわかんないよ。
本当は離れたくないの。
遙だけは …
『 じゃあ、』
ゆっくりと遙が口を開き始める。
次に来る言葉が何かはわからない。
けれどずっしりと心臓に不安が圧し掛かる。
自転車のスピードは変わらないまま。
そして遙は小さく呟いた。
『 じゃあ、もうやめる? 』