この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
大きな瞳に映るのは
第23章 関係
おいしかった、と
フォークを置く。
楽しい食事の時間に終止符を打った。
片付けは私がやるから、といって
席を立ちお皿を片付け始める。
それに気を遣うことなく
ありがとうとだけ言った遙は
リビングのソファに座り
録画していた映画を見始めた。
対面キッチンから見えるその後ろ姿は
本当にただの高校生なのに。
こんなに魅力的な人がいたなんて、と
改めて感じる。
片付けだけは慣れていた私は
ささっと洗い物を済ませると
ポットでお湯を沸かし始めた。
麦茶がもう残り少なくなっていたから。
「 ハル、お茶っ葉どこ? 」
『 上の棚 』
そう言われ上の棚を見上げる。
背伸びをして指先で扉をクイッとあけると
麦茶の袋が置いてあるのが見える。
再び背伸びをしてその袋を取ろうとするが
僅か数センチが届かない。
『 凄い顔。』
ぷっと笑いながら遙が私の事を見ていた。
「 っこんな高いとこに置くのが悪い… 」
『 チビー? 』
笑いながら遙は立ち上がると
私の方に近づく。
そしてその棚に置いてある袋を
難なく手に取ると、はい、と渡してくれた。
『 今度場所移しとく 』
そういって再びソファに戻ると
流していた映画を見始めた。
( … 今度場所移しとく、か )
その意味ありげな言葉を
自分の心の中で何度も言い聞かせた。