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大きな瞳に映るのは
第23章 関係
少しの間沈黙が続き
遙が料理を終えた。
『 できましたよ御嬢さん。』
そう言って盛り付けされたお皿が
テーブルに並べられる。
ほうれん草のクリームスパゲッティと
シーザーサラダだった。
盛り付けもきちんとされていて
お店で食べるような様だ。
「 凄い、どっかで習ったの? 」
『 いやだから手伝いしてたからだって 』
半笑いになりながらそう言う遙。
食べようぜ、とフォークを手に取り
口に運ぶ。
『 やっぱうまいわー 』
そう笑顔で自分を褒める遙は
いつもの少年の笑顔で。
私もいただきます、と口に運ぶと
クリームソースとほうれん草の相性が
絶妙なバランスで絡み合う。
「 … おいしい 」
『 だろー?さすが母親直伝のレシピ 』
「 お母さん、シェフ? 」
『 まあね。そんなとこ 』
だからこんなに手際よく作れるのか、と感心する。
新しく遙の意外な一面を知れて
少しだけ嬉しくなる。
もっと遙の事を知りたい。
そうふと遙に目をやると、視線が合う。
『 … ぷっ 』
するといきなり吹き出す遙。
人の顔を見て笑うなんて
どんな失礼な奴なんだ…と思った時
『 ついてる 』
そう言って私の口端に指先を当て
クリームソースをふき取る。
そしてその指をぺろりと舐める。
恥ずかしさで体が熱くなり
視線を伏せると再び遙が小さく笑う。