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大きな瞳に映るのは
第8章 人気者
― 奏 side ―
チャイムが鳴り夕と蒼真が帰っていく。
書類を片付け音夢の方を見ると、スマホを見ながら嬉しそうにしている。
あぁ … 本当に可愛らしい。
半分本気の冗談を音夢に投げかけると
照れたように顔を真っ赤にする。
これはわざとなのかと思ってしまう。
男を虜にする技でも持っているのか、と。
グイ …
俺は音夢の手を握りながら校舎を出た。
部活動終わりの生徒たちがこちらを見る。
『 会長、彼女できちゃったんですか? 』
『 え~!
私の絵も描いてくださいよぉ~! 』
たくさんの女たちが言い寄ってくる。
『 ははっ、彼女じゃありませんよ、
新しい生徒会メンバーです。
あなたたちの絵も
また描かせてくださいね。 』
ニコリと皆の喜ぶ笑顔を向けると、
数人が照れたようにしている。
まあ、これはいつものことだ。
『 日が暮れるのは早いですから
気を付けて帰ってくださいね。 』
軽く頭を下げると彼女たちは
バイバイと手を振る。
そして俺はまた音夢の手を握り直し
歩き出した。
ふと音夢の方を見やると
困ったようにこちらを見あげていた。
彼女は小さい。俺の背が高すぎるのか?
たしかに俺は180センチはあるが
彼女はほかの女よりも小さく見える。
『 どうかしましたか? 』
「 あのっ… 手、いつまで …
また勘違いされちゃいますよ…? 」
眉尻を下げて頬を赤らめる。
あぁ … 本当に食べてしまいたい。
『 ははっ、勘違いされるのは構いませんよ。
でも … そうですね
これから先はまた今度ということで 』
ニコリとそう音夢に言うと
握っていた手を離した。
音夢は緊張が解けたかのように
ふぅっ と一息つく。
さっきの言葉に疑問は感じなかったようだ。