この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
大きな瞳に映るのは
第8章 人気者
― 音夢 side ―
校舎から出ると
奏先輩に数人の女子が駆け寄ってきた。
そりゃこんな格好いい人だったら
集まってくるよね…
会話の中で『彼女』という単語が聞こえた。
そんなミラクルじみた話があるかい!!
なんて心の中でツッコミを入れる。
私に彼氏が出来たのは一度だけ。
生徒会メンバーの蒼真だ。
私が中学二年のころ
蒼真に何度もお願いされた。
まさかあんなやる気のない人が
私に夢中だなんて
ビックリしてOKしてしまった
のが始まりだった。
でもやっぱり好きという感情は
生まれなかった。
蒼真はいい人だ。だから聞き入れてくれた。
1か月だけの関係。
キスもセックスもしてない。
これを思うと
遙先輩のこともわからなくもない。
けれど、中学と高校じゃ
全く違う気がする。
ボーっとそんなことを考えていると
奏先輩が再び私の手を握って歩き出した。
「 勘違いされちゃいますよ。 」
そう伝えると手を放してくれた。
勘違いされるのは構わないけれど
私の身が持ちそうになかったので
正直ほっとした。
『 これから先はまた今度 … 』
奏先輩が
なんだかよくわからないことを
言っている様な気がした。
けれど考えるのが面倒なので
聞かなかったふりをした。