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大きな瞳に映るのは
第10章 スポーツ科
音楽室を飛び出した私は苛立ちを隠せないままガツガツと生徒会室に急いだ。
だいたい、いきなり呼び出しといて、私の話は聞かず、徐に自分の気になる話だけをしてくる。
本当、調子狂うって、まさにこの事だ。
「 はー… 」
イライラを抑えきるのに必死で俯きながら急ぎ足で歩く。
… ドンッ
「 … たっ 」
前を向いて歩いていなかったため
かなりの勢いで大きな背中に衝突した。
『 おぁっ? 大丈夫っ?! 』
ジャージ姿の巨人は振り向くと私の顔を覗き込んできた。
前を歩いていた体つきのいい人たちも
『 どうした? 』 と後ろを振り返る。
どこかで見たことのある顔 …
「 あっ、パフェのさわやか君…! 」
突然のことで私しか理解できないような呼び方をしてしまった。
『 ぷっ… パフェのさわやかくんってなんだそれ! 』
前を歩いていた男子の一人が笑い出す。
『 あー、木下音夢ちゃんだね! 』
さわやか君がニコリと微笑む。
近くで見ると左目の下に泣きホクロがある。
さわやかなのに少し色っぽい。
「 こっ、この間はどうもっ… 」
一応頭を軽く下げる。
「 それよりすいませんっ、前見てなくて… 」
おでこに手を当てながらさわやか君を見上げる。
『 ははっ、いいよいいよ、そんなやわな身体してないから。それより音夢ちゃんは大丈夫だった? 』
「 わっ、私もそんなやわな身体してないんで、大丈夫ですっ 」
『 いやいや、音夢ちゃん女の子なんだから。』
ポンッと軽く私の頭を撫でる。
『 あ、そうだ、
友達の雪ちゃんによろしく伝えといて?
またみんなでパフェでも食べに行こう?
俺らスポ科って
華がない暑苦しい集団だからさ。 』
そういって彼らを見やる。
周りの男子は女子とパフェと聞いて俺も行きたいと言い出す。
『 ま。そんなとこだから。ちゃんと前見て歩くんだよー 』
「 あっ、ありがとうございますっ 」
再び軽く頭を下げると彼らはひらひらとこちらに手を振りながら歩いて行った。