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大きな瞳に映るのは
第2章 眼差し


― 入学式後 ―


代表挨拶も無事終えた音夢は
気の抜けたように教室へ戻り
自分の席へと座った。


( はぁ… 本当に疲れた、)
( たった数分のことなのに… )


そう軽く息を吐くと、不意に
トンッ
と肩に手を置かれた。


「 … へっ? 」

思わず間抜けな声を出してしまった。
振り返り見上げると黒髪の眼鏡をかけた色白男子生徒がこちらを見下ろしていた。
まるで怒っているかのように無表情だ。


『 良い挨拶でしたよ。』

先ほどからの無表情とは打って変わって
ニコッ と微笑む優しい笑顔だ。
胸元には、3年生の色の校章バッジが輝いている。


「 あの …、三年生の人ですか …? 」

恐る恐る彼に尋ねる。


『 はっ、これはとんだご無礼を。 』

何かに ハッ とした彼は私の肩から手を放すと
彼の表情は微笑みから再び無表情へと変わった。


『 俺は現生徒会長の
  東雲 奏 (しののめ そう) です。
  学校の事は一通り把握しています

  先ほどの挨拶、本当に素晴らしかったです
  もし困ったことがあれば
  何でも言ってくださいね。 』


言い終わると同時に再び笑顔を見せた。
私は何が何だかわからず
ぽけっと聞き流し
彼の時折見せる笑顔に
釘付けになっていた。

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