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大きな瞳に映るのは
第2章 眼差し
何も言葉が出ず、ぽかんとしていると
クラスメイトががやがやと
教室に入ってきた。
『 … 木下さん? 』
眉間にしわを寄せた彼の顔が私に近づく。
「 あっ… はっ、
ごっ。ごめんなさい、! つい… 」
言い終わらないうちに彼が言葉を発した。
『 あんまりぼーっとしてると、
食べられちゃいますよ?
気を付けてくださいね … 』 クスッ
意地悪そうに一瞬笑みをこぼすと彼は
― 何かあれば生徒会室に来てくださいね ―
と言うと、
凛とした面持ちのまま教室から出て行った。
クラスメイトの女子たちも
立ち去る彼に目を奪われていた。
凛とした空気、色白の肌
眼鏡の奥の澄んだ瞳
自分も肌で感じたその空気に
言葉を失ったままだった。