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大きな瞳に映るのは
第11章 匂い



― 遙 side ―



面倒な女は、家に送ってきた。

畜生。せっかく俺が意を決して木下音夢を誘ったというのに。

空気の読めないやつだ。


ギッ ギッ


自転車を走らせて学校に戻ると校門のところに奏が居た。




『 おーい、奏! 』


奏が俺と認識する、そして面倒くさそうに眉間に皺を寄せた。



『 今頃登校ですか?もう授業は終わっていますよ?』

『 違う違う。麗を家まで送ってきたとこ。』

『 あぁ、そういうことですか。』

『 それより木下音夢、見なかった? 』

『 木下さんなら、もう帰られましたよ。
  私も用事があったのですがすれ違いで… 』



( 結局会ってないのか。
  まぁ、どうでもいいけど。)




『 ふぅん。あいつ何通学? 』

『 … 電車通学ですけど 』



遙が気にするなんて、とでも言いたげな顔をする。

奏の態度はすぐわかる。


『 へぇ。… じゃあなー 』


あまり聞きこまれるのも嫌だったので
すぐに学校の最寄りの駅へと自転車を走らせた。



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