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大きな瞳に映るのは
第11章 匂い
ギッ ギッ
久しぶりにこんなに全力で自転車を漕ぐ。
さすがに疲れた。
木下音夢はどこだ。
息を切らしながら自転車を漕いでいると
案外早く彼女の後姿を捉えた。
キキーーーーッ
物凄いブレーキ音と共に自転車が止まる。
『 はぁっ… はぁっ 』
さすがに疲れた。
でも追いついた。
木下音夢は、麗の心配をしている。
可笑しなやつだ。
ふぅ、と一息つくと、乱れていた呼吸も落ち着く。
音夢の隣に並んで歩く。
相変わらず、小さい。
麗の件でからかうと、小さい手で俺の背中を叩く。
幼稚園児か何かか。本当に可笑しなやつだ。
『 … 奏に会えた? 』
会えてないのは知っている。
適当に話題を出しただけだからどうでもいい。
それより腹が減った。
「 麗先輩、よかったの?」
音夢はやはり麗の心配をする。
人想いなのか?
まあどうでもいい。
でも、音夢をからかうのは面白い。
やりがいがある。
俺まで中学生みたいだ。