この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
大きな瞳に映るのは
第12章 男と女
キキッ --
遙は自転車を止める。
遙の自宅に戻ってきてしまった。
『 泊まってくでしょ? 』
その優しい問いかけに私は甘えてしまう。
ガチャ … パタン
「 お邪魔します… 」
再び遙の家に入ると玄関が荒れていた。
フロアマットは吹っ飛び床には靴が散乱している。
どうやら立てかけてあった靴にぶつかった後の様だった。
「 なにこれ … 」
『 あー… 慌てて出たからいろんなものが吹っ飛んだ 』
遙は荒れた玄関に目をやりながら
照れ臭そうにポリポリと頭をかく。
私を心配して、慌てて家をでたらしい。
でも心配したという事は遙の口からは出てこなかった。
「 っふ … 」
少しだけ嬉しくなり笑みを漏らして靴を並べる。
『 あーいいよいいよ。自分でやるから。
それより風呂、入りなよ。』
そう言いながら遙はTシャツとジャージを差し出してくる。
寝巻に使え、ということだろう。
「 え… でもこんな状態じゃ…
『 なに、一緒に入りたいの? 』
遙の言葉にぎょっとする。
にやにやと意地悪な笑顔で私を見る。お得意のからかいだ。
「 んもー…っ 」
少しふてくされながら、遙から寝巻を受け取る。
『 なに?不満?一緒に入ってあげるよ? 』
「 だー!もう!一人で入るってー! 」
『 ぷっ … んなことわかってるよ 』
ケラケラと遙が笑う。
上手くのせられたもんだ、まったく。
そう思いながら浴室へ向かった。