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大きな瞳に映るのは
第13章 はじめて
『 でもこれは本当、音夢がはじめて。』
そう優しく言ってくる。
多分本当なのだろう。
目を見ているとそんな気がした。
クシャ …
なんだか照れ臭くなった私は布団で顔を隠す。
『 … 音夢 』
呼ばれて視線を遙に向けると
暗闇の中でまっすぐ私を見つめていた。
『 来週もおいでよ 』
甘い誘惑でしかなかった。
正直、私は遙に恋心を抱いている。
恋心だけではない、憧れも抱いていた。
良い音を奏でる技量
大食いなのにスタイルのいいところ
女の子よりも可愛らしいような顔つき
なによりも大きな二重の澄んだ瞳
しかしながら、遙には麗先輩という彼女がいる。
これ以上は完全な浮気になってしまう。
いやもうすでに浮気なのかもしれない。
もしかしたら遙はいろんな子に言い寄ってるのかもしれないとさえも思えてきた。
「 … 考えておくよ。 」
そう言って布団に潜り込む。
ポン ポン と布団越しに身体を撫でてくれる。
その優しい手つきと遙の匂いに包まれながら
私の意識は遠のいて行った。