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手探りな絶望
第8章 懇願
「じゃあ…帰るよ」



「ほんとに…ごめんなさい」



「いいよ
電話…してもいい?」



「うん
私も…する」



「うん、待ってる」



玄関で
もう靴を履いてるのに
なかなか
離れられない…俺。



「冬実…」



「ん?」



「カラダ…大丈夫?」



「ん…うん、平気」



メガネを
直すふりをして
照れ隠しする冬実に
どんなことでも
してやりたいと思う



「じゃあ…行くね」


帰りたくないけど
冬実を困らせたくなくて
俺はパジャマの冬実に
チュッとキスをした


「周平さん…」


「ん?」






「も…もう一回だけ…」






冬実は
小さな声で
そう言って

俺の右手を
そっと握った



もう一回だけ…キス?



俺は
冬実を抱き寄せ
ぎゅーっと抱きしめた


帰りたく…ない


冬実の
パジャマの中に手を入れ
冬実の背中に触れ

目を閉じて
滑らかな肌を感じると
頭がクラクラした



「もう一回…何?」


聞いてみたい



「……」




冬実から

聞いてみたい




「…冬実?」




「お願い

もう一回だけ


…キス…して欲しい…」




「メガネ…はずして」




「…うん…」




「俺も…したい」
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