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手探りな絶望
第5章 寺田
彼女は
今日もコンタクトをしているみたいで
眼鏡はしていなかった
それたけで
俺の心は弾む
けど
弾む心を
必死で隠しながら
助手席に彼女を乗せて
運転した
「佐々木さん
野球好きだったら
今日の試合つまんねーかもな…」
「どうしてですか?」
「多分、チームの中で
俺が一番若いんだよ(笑)
みんな
ゆる〜く野球楽しんでる感じだし」
「楽しいですよ、きっと」
「そお?」
「あ〜この人は
こうしたかったのに
できなかったんだな…とか
ここ、狙ってたのに
こうなっちゃったんだな…とか
そう言うの
想像して見るのも楽しいですから」
いつもより
おしゃべりな彼女の声が
とても明るい
「本当に野球好きなんだね」
「…あ…はい…」
さっきまで
おしゃべりだったのに
今度は
返事が遅く
また
彼女の声が小さくなった
「どうして…好きになったの?」
「えっ?」
「野球」
「………えっと………」
更に
声は小さくなる
「佐々木さん」
「はい」
「今日帰りに
飯でも食ってかえる?
まだ
封筒に
金、残ってるんだ」
「あ、あ、はい」
「気が向いたら
そん時理由教えてよ」
「あ、……はい
気が向いたら…。」
ごめんね
でも
知りたいんだ
もっと
いろんなこと