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月の吐息
第2章 満月

「嘘」
着信画面に並ぶ「健二」の文字に、思わず小声になりながら部屋に戻る。
「ちょっと健二、何時だと思ってんの?」
「分かってる。ごめん。誕生日おめでとうって、言いたくて」
・・・・・・。
「おめでとう、美月」
「あ、ありがとう」
窓ガラスを締めたまま、直立不動で動けなくなる。
一気に酔いも覚めたわ。
「そっち、1時半頃だろ? 声が、聞きたくなって」
「そう。じゃ、目的は果たしたわよね?」
どぎまぎしかけた空気を正したくて、冷静に返すと、「んー」と奥歯に物が挟まったみたいな返事が聞こえる。
「なによ」
「あのさ、美月」
「うん」
「あのネックレス、付けてみた?」
「・・・・・・」
なんで、今、それを聞くの、健二。
タイミングが、悪いし。
「・・・てる」
「へ?」
「付、け、て、る!」
「は? 今?」
「今・・・、だけね」
「・・・・・・・・・」
ボソボソとしか返事できなかったけど、聞き返されて、何だか逆ギレみたいになっちゃった。
今度は健二が黙る番。
「もう、いいでしょ? 切るよ? 国際電話って、結構お金かかっちゃ―――」
「待った」
人が喋ってるのに、勝手に遮るし。
「何?」
「美月、今、部屋?」
「そうだけど?」
「パジャマ?」
「そりゃ、そうでしょ。こんな時間だもん」
「じゃあ、ベッドにいるんだ」
「まーね。だから、それが何?」
「ちょっとさ、付き合ってよ、悩み相談。寝転がりながらで、いいからさ」
「・・・・・・・・・・・・じゃー、10分だけね」
幼馴染の相談だし、海外で慣れない思いもしてるのかも。
部屋の電気を消してエアコンを付けた。
ベッドに仰向けになると、薄手のタオルケットをお腹にかけた。

