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兄の狂気
第2章 嫉 妬
「へぇ、ここなんだ」
あたしの家に着いて、そう言って家を見上げる
哲平くんに笑顔を向けた。
「大きな家ですね。
…そういや瞳さんって何人家族でしたっけ?
俺聞いた事なかったかも」
「4人家族だよー。
お兄ちゃん1人いて、2人で暮らしてるの」
「2人?って…え?親って…」
「パパとママ、仕事忙しくてあまり帰って来ないから
ずっと何年もお兄ちゃんと2人暮らし」
帰って来てくれるのは、
あたしとお兄ちゃんの誕生日…
その2日間だけ。
最近はその2日間すら帰って来てくれてない。
だからなのかな。
あたしとお兄ちゃんが…寂しさを紛らわせるように
秘密の関係に足を踏み入れたのは。
「…大丈夫なんですか、兄と2人きりって」
「大丈夫だよぉ」
…アルコールのお陰だ。
これで平常時だったらあたし、
動揺してしまってたかもしれなかった。
哲平くんの目が、とても真剣だったから。
「あ。送ってくれてありがとね。また大学でね」
ひらひらと手を振って、哲平くんと繋いでた手を
離そうとしたあたしの手をぎゅっと引いて
あたしを自分の胸に閉じ込めた哲平くん。
最初、何が起こってるのか分からなくて…
ドクンドクンと鼓動する
哲平くんの心臓の音を聞いてた。