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兄の狂気
第2章 嫉 妬







「っ…あの、て、…ぺ」


「俺っ…、…っ俺、
初めて出会った時からずっとあなたが、


…っ、あなたが…」


…あ


ようやく理解して抵抗を始めるあたしを
更にぎゅっと抱き締め、


「拒まないで…」


と耳元で懇願される。


ダメ


ダメなの


気付かせないで


アタシハオニイチャンノモノダカラ…


「好きです…」


そう言われて思わず顔を上げて
哲平くんの唇とあたしの唇が重なったのと、
お兄ちゃんの声が聞こえたのは同時だった。


「…何やってんの?」


低ーい声が聞こえて慌てて哲平くんを押しのけて
家の方をみると、お兄ちゃんが扉に寄りかかって
こっちを見ていて。


「あっ!っ…ち、違うの!これはその、えっと…っ」


「瞳」


「あのねっ、この人は大学のっ…」


「瞳。おかえり…そんなところで突っ立ってないで
早く家に入りな?」


「っ…」


血の気が引く。


他の誰にも分からないだろう。


お兄ちゃんが相当お怒りだってこと…


「…哲平くん。
ほんとに、送ってくれてありがとう…
…っ、また明日っ…」


「瞳さんっ…」


あたしの名前を呼んだ哲平くんに頭を下げ、
玄関に向かい、お兄ちゃんに肩を抱かれて
家の中に入った。


この時、あたしを先に家に入れたお兄ちゃんが
哲平くんを振り返って鋭く睨み付けたなんて
知るはずもなかった。


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