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兄の狂気
第3章 誘 惑
あたしが見た時は、哲平くんや翔太くん、
男の子4人、女の子3人くらいで話してて、
女の子達がすっごく可愛かったのを覚えてる。
翔太くんと他の男の子4人はその女の子達と
楽しそうに笑いながら話してたのに対して、
哲平くんはイヤホンはめて翔太くんの後ろにいて
ときどき輪の方を見て相槌をうってた。
哲平くんの事を意識し始めてる今は、
哲平くんが、どんな女の子とどんな話をしてるのか…
ちょっと気になっちゃったりしてるけど。
あたし以外の女の子と話してほしくない!
なんてわがままは絶対言わないけど、
もし女の子と楽しそうに話してたら、
何話してるのか気になるし、もやもやしちゃう。
…もやもや?
「…」
もやもや…?
あたし、もやもやしてるの?
哲平くんが女の子と楽しそうに話してたら、
もやもやするの?
それって…
出て来そうで、出て来ない答え。
しばらく考えてたけど…
「…出なくちゃ」
サークルの時間が近付いてるのに気付いて、
バドミントン用のかばんを肩にかけて
玄関に向かった。
「行ってきまーす」
お兄ちゃんが夜勤に出かけて
誰もいない中に向かって小さく声をかけ、家を出た。