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兄の狂気
第3章 誘 惑







哲平SIDE


「えへ。サークルだけ来ちゃった」


「お、ももさんこんちはー!」


「遅いよ瞳〜!」


小さく舌を出す瞳さんにきゅんとしながら、
心の中でガッツポーズ。


っしゃ!やる気出た!


「遅いですよ瞳さん〜、
もうウォーミングアップ終わっちゃいましたよ」


「うん、電車遅れてて間に合わなかった〜」


「それは災難でしたね〜」


…うん。いつも通りいつも通り。


「俺、ウォーミングアップ手伝いましょうか?」


「瞳!早くダブルスやろ〜」


「うん!…あ、うん?
ごめん哲平くん、聞こえなかった。
もっかい言って貰っていい?」


…う、


…よし。


距離を縮める…為には。


「俺、ウォーミングアップ手伝いますよ。
端っこの方行きましょ」


「へ?ん?」


瞳さんの肩に軽く触れて促し、ネットから離れた。


翔太とすれ違うと、瞳さんに見えないように
ウィンクされ、ほっとけ、と舌を出す。


…いや内心バックバクだけど。


めちゃくちゃ嬉しくて飛び上がりそうだけど。


まず、サークル恒例のラジオ体操から始める。


身体が柔らかい瞳さんの動きはとても滑らかで、
いつも気付かれないように見てて見とれてしまう。


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