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兄の狂気
第3章 誘 惑
そういえば前にも同じような事があったから
置き傘使って帰って、そのまま家に
置いてある事を思い出す。
「…うぅ。どうしよう…」
傘ないよー…
…あ、売店に売ってるかもしれない。
そう思って売店に向かったけど、
…やっぱり忘れた人は皆同じ事考えるよね、
売り切れて1本も残っていなかった。
お兄ちゃんにお迎え頼もうか…
だめだ、今日帰るの22時頃って言ってた。
わぁどうしよう…
迷ってる間にも、雨の勢いは強くなっていってて。
止むの待つしかないかなぁ…
もうキャンパス内にあまり人がいなくて、
美音達も帰っただろうなぁと思ってスマホを見ると。
「瞳さん、もう帰りました?」
「俺傘忘れちゃって帰れないんです〜」
哲平くんからLINEが来てて
どきりとして立ち止まった。
…え、まだここにいるの!?
あたしも傘なくてまだ大学にいる、と
LINEを返しながら入り口に向かう。
すぐに既読がつき、次の瞬間
LINE電話によってスマホが震えた。
「わっ」
びっくりした…
哲平くんからの着信に、
軽く深呼吸して通話ボタンを押す。
「もしもし?哲平く…」
「瞳さん!?今どこにいますっ!?」
なぜか切羽詰まった言葉に驚いた。