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兄の狂気
第3章 誘 惑
「へ、え、…あ、えと、」
きょろきょろと周りを見渡し。
「入り口近くの学生掲示板の前…」
そう伝えると
「すぐ行きますっ」
と言って切れた。
「…、」
…うん?
ここまで来てくれるのかな?
…どうしてあんな切羽詰まってたんだろう?
首を傾げながら掲示板を眺めてて、
そういえばレポート終わらせなきゃな、と考える。
いつまでだっけ…来週の月曜までだけど
早めに終わらせた方がいいよね。
出来れば今日中に終わらせたいけど、
まず帰れるかどうか分かんないしなぁ…
もういっそ、雨の中走って帰るって手もあるよね。
家帰ったら着替えればいいし、
駅までの辛抱、…じゃ、ない。
ダメだ、電車の中汚れちゃうな。
かと言って電車使わず走って帰ろうとしたら
数時間かかっちゃうだろうし…
…うーん!
悶々と考えてると、物凄い勢いで
階段を駆け下りる足音が聞こえて。
ダダダダダ、ッダン
ダダダダダ、ッダン
みたいな。
そして、つい音がする方の階段を見ると…
哲平くんが駆け下りてきて、
あたしを捉えると走って近付いてきて
思いきり抱き着かれた。
「…っ!」
ぎゅうっと広い胸に閉じ込められ、
つい固まってしまう。