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兄の狂気
第9章 永 遠







「ごめんって…家帰ったらプレゼントあるから
機嫌直して?」


「…この子のでしょー?」


「ちげーよ、瞳の!っはー無事でよかった…」


あたしの座る椅子の前にしゃがみこんで
髪を掻き上げる哲平の額には汗が光っていて。


まさか…


「え…探してくれてたの?」


「…だって電話出ねぇから」


その言葉にスマホを取り出して見ると、
着信が12件あって思わず苦笑い。


「…ごめん。ありがとう…」


「…とにかく無事でよかった」


「うん」


あたしを見上げて微笑む哲平の笑顔は、
出会った時と全然変わってない。


「よかったね!」


声をかけてくれる女の人に笑顔を返す。


ほんと…よかった。


「…ん、何?友達?」


「あ、さっき仲良くなった方なの」


「矢野杏奈です。これは夫の蒼汰」


「…これって言うな」


言いつつあたしと哲平を見て
小さく頭を下げる蒼汰さん。


ほんとイケメンだな。


「木原哲平と、妻の瞳です。
ありがとうございます、話相手になってくださって」


「いえいえー!…ちょっと蒼汰。
この方の愛想の良さ見習ってよ」


「…あっ?黙れバーカ」


「ちょっとー。子供に聞こえちゃうんですけど?」


「…ごめん」


杏奈さんの方が強そうだ。


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