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まのめのロイン
第3章 仕返し
凛とした――ではないけれど、何か一本、自分の中に通っているような、そんな美しさだ。
男の子たちも彼女のことを見つめていることが、けっこうあるような気がする。
「あっ女子」
声がして、そちらを見ると、渡り廊下から中庭に入る所に、体格の良い数人の男子がいた。
「こっちダメだわ、ジテチューにしよーぜ」
「第一?」
「先に第二が近いだろ」
「狭くね?」
「どうせ通り道だし見てこーぜ」
「島野は?」
「ケータイすりゃいいべ」
先客である私たちに気づくと、男の子たちは連れ立って別の場所へと立ち去っていた。
ジテチューというのは駐輪場のことだ。
多分、この学校独特の言いかただと思う。
皆、先輩たちがそう言うのを聞いてマネするようになるのだ。
クラスではまだ、男子の一部がそう言い始めたぐらいだった。