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- RyuKa -(心をあげる リライト)
第4章 あなたがいない
「ハハッ! まさか! 水を使うんだ」
「水?」
「飲ませるんじゃないよ。水槽を用意してその中にSINを浸す。全身じゃなくてもいい。全身ならそれだけ転送が早く済むだろうけどね。それで、転送したいデータは震動になっているから、水中の微細な波がSINに作用するというわけさ」
「水槽や、その震動を起こす機械って特別なの?」
「いや。そんなことしたら、現場でアフターケアしなきゃいけないときに大変だろ? 一般の浴槽があれば大丈夫。震動発生器のほうは特別だが、ウチのラボにいくつもあるよ」
「タクの研究室?」
「うん」
「それも欲しいな……マウスで実験ぐらいはしておきたいわ」
「わかった、今度持って来るよ。発生器は機密でもなんでもないからね」
「明日……でもいいかな?」
「えっ……? いいけど……何か急ぐのか?」
「あ……うん。間に合わせたくて」
「間に合わせる?」
「うん……ちょっと、その、今の研究で試したいことが」
「そうか。いいよ、明日持って来る」