この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夢想姫の逃避録
第10章 崩れ去る幸せな日々
5月3日当日。
午後帯になってから、緋奈はキッチンにいた。
サプライズカレーを企てていた。
ユウガに喜んでほしいな……。
「ここをこうして…嗚呼失敗しちゃった!もっかい!ここをこうやって……」
「緋奈何してるの?」
ユウガの声にびっくりして跳ね上がると、すぐにキッチンから追い出した。
何のことなのかユウガは分かっていない。
いや、秘密の事をしているんだから分かっちゃ困る‼︎
「何すんだよ〜見てもいいだろ?(笑)」
「まだダメ!出来上がってからのお楽しみなの!」
「え〜つまんなっ!」
ユウガがぴょんぴょん跳ねて見ようとしてくる。
でも緋奈は絶対に見られたくなくて一緒にジャンプして阻止した。
そもそも、ユウガの方が背が高いから阻止できてない気もするけど。
あまりに必死に緋奈が隠そうとするものだから、とうとうユウガは拗ねながらも渋々キッチンをあとにした。
申し訳ないな……
でもバレちゃダメ。
ユウガには悪いけど、サプライズカレー作ってるんだもん!
きっと喜んでくれる!
緋奈はそう信じてカレー作りに精を出した。
「もっかい!ここをこうして……こうやって……あ!一個できた♪」