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夢想姫の逃避録
第1章 泣かないで
さっさと座ろうとしたその瞬間、緋奈はいつもは気をつけていたのに、ミスをしたんだ。
目の前を通りかかってはいけない、ある人の前を通ってしまった。
ガッ!! ドスン!l
「痛っ!l 」
「はぁ?イテーのはこっちなんですけどー?てかお前転び方キモっ!(笑) 」
教室内が笑いの渦に飲み込まれた。
恥ずかしい……
一瞬何が起きたのか分からなかったけど、すぐ気付いた。
ある人に足で緋奈の足を引っ掛けられたんだ。
起き上がろうとしたらさっき引っ掛けられた足を挫いてしまったのか、右足首に激痛が走った。感電でもしたんじゃないかってくらいすっごい痛い……。
「アタシの目の前通るんじゃねーよ!! キモいんだよ!! テメーもしかしてアタシのことナメてんのか?毎朝毎朝オメーが視界に入る度にスゲー目障りでテンション下がるんですけど?マジ公害レベルだから早く行ってくんない?(笑)」
「やれやれ〜!(笑)」
激痛に耐えながら起き上がろうとするも、無残にもさっき引っ掛けてきた足は起き上がろうとした緋奈の背中を今度は思いっきり踏み潰した。
緋奈はまた地面に押し付けられた。
ある人の周りの取り巻き数人の女子からも、頭やさっき怪我した足を思いっきり踏まれてしまい、立てない状態になってしまった。
罵声を浴びながら、起き上がりたいのに起き上がれない状態がしばらく続いた。