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夢想姫の逃避録
第1章 泣かないで
学校が近づくと、恐怖感が一層強まるし、教室に入りたくないって気持ちも高まった。
でも仕方ないから入らなければいけない。
緋奈は深呼吸をしてから意を決して、教室のドアに手をかけた。
ドアの向こうからは動物園の動物たちが檻の中で暴れまわっているような、うるさい甲高い声や大きな物音がずっとしている。
怖い。けど頑張らなきゃ。
……ガラッ
緋奈がドアを開けて入った瞬間、騒音だらけだった教室内が嘘のように、水を打ったかのように静まり返った。
そんな動物たち……いや、人間のクラスメートたちが、一斉に黙り込んで冷たい視線を緋奈に向ける。
刺すような視線を浴びながら緋奈は真ん中の自分の席に座ろうと、下を向いて足早に歩いた。