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緊縛
第9章 短編 緊縛9
 店長が助手席のドアを開けてくれる。

 怖くて、なかなか降りることができない。

 俯いていると、店長が「無理にとは言わないよ」と言った。

 そっと絡ませてくる指先に、私は大きく息を吸い込んだ。

 店長に肩を抱かれ、私は車から降りた。

 鬱蒼と生い茂る木々に囲まれた殺伐とした光景が目前に広がっている。

 思わず目を閉じていると、店長が優しく抱きしめくれる。

 私は静かに頷いた。

 でも、全裸になるのは抵抗がある。

 戸惑っていると、店長が、「少し、きつく縛っていい?」と聞いてきた。

「裸になるの?」

 思い切って店長に聞くと、静かに首を横に振った。

「レイプされていくような淫らさが好きなんだ」

 その言葉に思わず息を飲んだ。

「また、そんな顔をする。男ならレイプをしたい欲望と痴漢行為をしてみたい願望は、少なからずあると思うけどな」

「本当は?」

「うん?」

 店長は私の言葉に困惑した表情を浮かべた。

「それは犯罪だろう。あくまでも願望であって、その願望がイメージとして楽しめられたら俺はそれでいい。まだ、俺にレイプされると思っているんだろう」

 私は俯きながらも、その淫らな舌先と指先で追い詰められたら、押し倒された女性は、どこまで抵抗できるのだろうか。

 その指先で身体をなぞられたら、満員電車の中であっても私は無抵抗になりそうだ。

 もちろん、そんな女性ばかりじゃないのはわかっている。

「おいで」

 考え込んでいる私の肩を抱くと、店長は木々が並ぶ辺りに私を連れて行った。

 店長は全身をいやらしげに撫であげると、私の手首に麻縄を通し、枝に縛りつける。

 もう片側の手首も隣にある木の枝に同じように縛られると、私は両手を広げた状態になった。

 店長は私の髪を優しく撫でると「怖い?」と聞いてきたが、逃げられない興奮と、堪えられない疼きが、不思議と私を包んでくる。

 店長は背後から私の乳房を大きく持ち上げると着衣の上から、じょじょに硬くなるばかりの乳首を弄びだした。

 ぞくっとするほどの淫らな舌先が首筋を舐め上げていく。

 欲望のままに淫らに男性に弄ばれていくような錯覚が私を強く支配していくようで怖い。
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