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eyes to me~ 私を見て
第45章 波乱のミュージックスタイル

菊野は静かに、涼やかな声で答えた。
「――お察しの通りです……剛さんが、祐樹にそっくりだから……です」
「……」
言葉を失う二人に背を向けると、菊野はベッドの側で立ち尽くして、肩を震わせた。
「私……私が……祐樹に似た子を欲しいと強く望んで……半ば強引に……剛さんの意思なんか関係なしに引き取ったんです……
私は……短い間だけでも剛さんと暮らせて幸せでした……
けれど……剛さんは……苦しんでいたんです……
他人の自分が西本の家に居ることを苦痛に思ってたんです……」
一度堰を切った菊野の感情は溢れ出して止まらない。
ペコは彼女の小さな肩をそっと抱いた。
大人の女性なのに、しゃくり上げる様子は小さな女の子に見えた。

