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eyes to me~ 私を見て
第48章 鮮烈なデビュー①

喉の温存のため、本番までの時間、美名は一切声を出さずに過ごした。
本番のトークは真理や由清が代わりに喋る事にした。
美名は相づちだけを打てば良い。
もしもこのまま声が出なかったらーーという考えが頭を掠めたが、成功した時のイメージだけを思い浮かべる事にした。
自分が路上で歌っていた時に沢山の拍手を貰った時の事、まだ無名の自分にサインや握手を求めて来られてこそばゆくも嬉しかった事、 通りすがりの人々がかけてくれた励ましの言葉などが胸の中で甦る。
綾波に見出だされ、志村にプロデュースされる幸運に恵まれた自分。
真理や由清という優れたプレーヤーと共に演奏する事が出来る自分。
翔大の事や、大室の策略、聖恵の偽りの親愛、西野の言葉などで傷ついたとしても、自分が無くした物は何も無いのだから……
だから、恐れる事はない。

