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eyes to me~ 私を見て
第48章 鮮烈なデビュー①
「フフフ……美名ちゃん、早速人気者ね」
前に座った西野がニッコリ笑いかけて来て、美名は思わず身体を固くした。
西野は首を傾げて巻き毛を指で弄ぶとクスリと笑う。
「ふふ、そんなに怖がる事ないでしょう?……今日は頑張りましょうね?……声、大丈夫?」
「……」
美名は、真っ直ぐに西野を見返して頷いた。
「……口パクにした方が良かったんじゃないのかしら?
……失敗したら、あなたのマネージャーさん、きっと悲しむわよ~?」
西野は口の端を吊り上げて笑う。
その時、一見華やかな西野の笑顔の中に真っ黒な悪意が初めて見てとれた。
美名は拳を握りしめ唇を結び俯いたが、ゆっくりと顔を上げると優美に笑って見せた。
その自信に満ちた瞳に西野が鼻白んだ時、スタッフの声が飛んだ。
「CM終了十秒前――!」
「ほら皆!じゃれ合い終了!本番入るよ!自分の所へ座って!」
まだ暴れている真理と髑髏川達に由清が目を吊り上げて怒ると、皆スゴスゴと定位置に座る。
美名はクスリと笑った。
西野は笑顔を前に向けながら、唇の中では歯軋りをしていた。
(……どうせ失敗するに決まってるわ……いい気味よ……)