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eyes to me~ 私を見て
第49章 鮮烈なデビュー②
病室のベッドで半身を起こしてスマホを見つめ、腹を抱えて笑う綾波を祐樹が呆れて見た。
「全く……生還した途端……お前はどうしようもないな!」
「でも、綾ちゃんが生き返って良かっだ――!綾ぢゃ――ん!」
「うお――!綾ちゃん――!」
綾波は、涙で顔をグシャグシャにして抱きつこうとする三広と亮介の顔を拳でガシッと掴んでガードする。
「ほれ、お前ら、テレビから目を離すなよ?
とびきりの歌姫のステージを一秒足りとも見逃すわけにはいかんぞ!
おい、野村起きろ!また眠いのか――!」
「はっ!」
綾波に言われて、立ったままでグラグラしていた野村がパチリと目覚める。
「さあさあ、皆さん、眠気覚ましにいかが?」
菊野が珈琲を淹れてきた。
綾波が、カップを受け取り菊野に静かに笑いかける。
菊野も笑いながら、その瞳には涙が浮かんでいた。
綾波はテレビを睨みながら、画面の向こうに美名の姿を見ていた。
(例えそこに映って居なくても、俺にはお前の姿が見えるぞ……
美名……
見ているから……
頑張れ……!)