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eyes to me~ 私を見て
第49章 鮮烈なデビュー②
急ぎ足で楽屋に向かい、ドアを開けてスマホを取る。
二回呼び出し音が鳴り、向こうが出た。
「……美名?」
美名にとって、世界の何よりも甘く心地よい恋人の声。
一瞬うっとりと呆けてしまいそうになる。
スマホを握りしめ、美名は小さく囁いた。
「剛さん……さっき……言えなかったから、言うね?」
「……ああ。言えよ……何でも」
「剛さんを……愛してます」
電話口で、キスをするようにチュッと音を響かせて直ぐ様切ってしまった。
今さら、猛烈に恥ずかしくなり身体中が燃える様に熱い。
会ったら、もっと恥ずかしいかも知れない。
「……電話でキスしろ、なんて……剛さんが言うから……」
唇を尖らせながら、頬が暖かく緩む。
歌う前に、綾波の声を聞いておきたかった。
今の美名に迷いや恐れは無い。
鏡の中の自分に魔法をかけるが如く語りかける。
「私は出来る……私はやってみせる……」
正真正銘の、プリキーのデビューの時がすぐそこまで迫っていた。