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eyes to me~ 私を見て
第51章 Kiss in the moonlight

「も……もう……剛さんたら……っ」
美名の細い右手が震えている。
彼女の涙声が、綾波の胸に突き刺さり、甘く掻き乱した。
「美名……」
いとおしさの沈む眼差しに、吸い込まれそうになりながら美名は彼を責める。
「会いたくて……剛さんにずっと会いたくて来たのに……っ
凄く……凄く心配した……のにっ……」
「美名……っ」
しなやかな腕が美名の身体を包み込んだ。
「もうっ……バカっ!剛さんのバカ――!」
綾波の胸の中で美名がしゃくり上げていると、女性の静かな声が頭上で聞こえた。
「もう……美名さんを苛めちゃ駄目じゃないの」
「はい……」
綾波の低い声が耳元に心地良くて、美名は怒るのを忘れてうっとりと聞き入る。

