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eyes to me~ 私を見て
第53章 暴かれる秘密

『真理くん……』
美名の笑顔と声がちらつくと、抜け出して来た事を後悔した。
(俺が居なくて、心配していないだろうか……)
と一瞬思ったが、綾波に抱きしめられている時の幸福に輝いた瞳を思い出して、舌打ちと共にその考えは消え去った。
「……綾波がいりゃ、俺なんか要らないか……」
手の中の煙草を睨み、自分の諦めの悪さを苦く笑った。
どうにもならないのだ。
そんな事はとっくに分かっている。
綾波が美名を庇って怪我をした時、あの時に既に自分は負けていた。
美名の事を幸せに出来るのは綾波なのだ。
自分に出来るのは、プリキーのベースの役目を全うして、美名の良き友達でいる事なんだ……
「友達……か」
自分で呟いたその言葉に、心が深く抉られる。

