この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
eyes to me~ 私を見て
第54章 擦れ違う恋人たち

重苦しい夜が明けて翌日。新たなプロジェクトの打ち合わせ兼顔合わせと会見が予定されているホテルに向かう車中で、二人は無言だった。
後部席に座る二人はお互いの身体が触れない様に距離を取っていたが、目の前のトラックが急停車し、田仲が急ブレーキを踏んだ時にタイヤがロックし、美名が綾波に倒れかかってきた。
「……失礼いたしました」
「大丈夫だ、気にするな」
田仲に返事をする綾波が美名を受け止めた腕に力を込める。
美 名が内心胸をときめかせながら、腕の中から出ようともがくが、綾波が離さない。
「……綾波さ」
泣きそうな声で上目遣いで哀願するかの様に見る美名に、綾波は焦れてしまう。
「なんだ……その呼び方は?」
美名の顎を掴み、上を向かせた。

