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eyes to me~ 私を見て
第54章 擦れ違う恋人たち

「……美名を離せ」
「やだね」
「――何だと!?」
綾波が目をぎらつかせた時、志村がすっとん狂な声を上げた。
「ああ!そういえば! 今の時間、このホテルで数量限定の
"お口の中でとろけるセレブのシフォンティータイムセット"
が一階の喫茶コーナーで食べれるのよっ!
ここに来たらそれを堪能しないと悔いが残るわ~!
……打ち合わせにはまだ30分あるし、行きましょ!ほらほら、いくわよ!」
志村は、綾波の肩を強引に抱いて歩いて行く。
「ほら、皆も来なさい?」
「は、はい」
由清が返事をして、まだ抱き合う二人を振り返った。
「由清、先に行っててくれ」
由清は真理に頷くと、小走りに志村と綾波の後を追い掛けた。
綾波がちらりと振り返り美名と目が合う。
美名は真理にしがみつく力を強めた。

