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eyes to me~ 私を見て
第54章 擦れ違う恋人たち

「うーん、じゃあこの写真を使いましょ!」
志村は写真撮影を止めてフォークでシフォンを口に運ぶと目を輝かせた。
「ん――!本当にお口の中で溶けちゃうのね――!」
「ですね……」
由清も食べながら、周囲を気にしている。
美名と真理が来るのを待っているのだ。
志村は紅茶を一口啜り息をつくと、綾波に切り出した。
「ね、一体どうしたの?……昨日はあんなに燃え上がってたじゃないの」
「も、燃え上がっ……」
由清は思わず赤面する。
綾波はあっという間にケーキを平らげてしまい、口の端に付いたクリームを指先で掬いペロリと舐めると重々しく言った。
「……行き違いがありまして……」

