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eyes to me~ 私を見て
第54章 擦れ違う恋人たち

美名は不安な顔で躊躇うが、真理は努めて明るい声を出した。
「ほれ、沢山テレビカメラ来るだろ?いつもの美名スマイルスマイル!
今はとりあえず切り替えてこーぜ!」
「……このまま……真理くんと会見サボりたい気分」
美名は唇を尖らせて、小さく呟く。
真理の脳内で、美名を抱き上げて二人で逃げ出す妄想が展開したが、咳払いをして打ち消した。
「――うぉほん!サボるとか、子供かね君はっ?
今日の会見はとてつもなく大事なのはよーく分かってるだろ?んん?」
真理は芝居がかった口調で説教する。
美名の沈んだ表情が次第に明るい物に変わっていくのを見て、真理はますます大仰に演説口調で続けた。
「お前の大好きな大好きな桃子が大好きなアニメのタイアップ関連の仕事だぞ!
これをドタキャンしたら姉妹の間に二度と修復出来ない谷底が出来上がるぞ――!』
「谷底……て、それをいうなら溝じゃない?」
美名がクスリとするのを見て、真理は安堵する。

