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eyes to me~ 私を見て
第54章 擦れ違う恋人たち

「わあ……緊張……」
音楽番組の生放送とはまた違う緊張を解すために、美名は背筋を伸ばして深呼吸する。
「ひめっ……ぎんぢょっ……じでるなら……おでが……ちゅーの……びどつでもかまじで……やるべ……ぐぼーっ……ウヒャヒャヒャ……
や、やめど……ばまじろー!ひいっ」
真理は美名をからかう様な事を言うが、はまじろうにがんじがらめに拘束されたまま脇腹を擽られ悶絶している。
「もうっ!真理くんったら!」
ドアが開いて、綾波と志村、智也が入ってきた。美名の視線は否が応にも綾波に吸い寄せられる。
スラリとした手足に眼鏡の奥から覗く鋭い瞳、真っ直ぐに伸びた襟足の長い髪。
知りたくなかった綾波の過去を知らされて嫌悪を覚えている今も、こうして姿を見るだけで全ての感覚が麻痺してしまう気がする。
(私は……剛さんが好き……
だけど……)
見つめていると、綾波が視線に気が付いたのか目を美名に向けた。
「――!」
思わず顔を逸らしてしまう。

