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eyes to me~ 私を見て
第56章 さよなら、私の

鋭い目で睨み付けながら今度はボトルの中の残りのシャンパンを浴びせかけた。
増本は瞬きをしただけで、表情は変えない。
未菜は苛立ちを露にしてボトルを床に転がす。
「あの清純ぶった女……!どこまでもムカツク!」
「――清純で売っているのは未菜さんも同じでしょう」
「一緒にしないで!」
マグマの様に噴き出す怒りを増本にぶつけた。
無意識に爪を噛み、譫言のように呟く。
「……同じ日……同じ時間に私も近くに居たのに……歌姫の西野未菜が居たのに……」
増本は黙って立ち尽くし彼女を見つめる。
未菜の背中は震え始め、爪を噛む力も強くなり、綺麗に施されたネイルの飾りが無惨に剥げていく。

